DNAマイクロアレイ

DNAマイクロアレイはDNAの塩基配列を検査するために、多くの種類の既知遺伝子配列のDNAを各スポットごとに固定したプラスチックまたはガラスからなる器具のこと。DNAチップとも言われる。ウィキペディア

DNAマイクロアレイとは?何を可能にするのか?
健康障害予防研究部 三浦 伸彦
生物を構成する細胞の大部分は蛋白質でできています。蛋白質を作り出すための情報は遺伝子が持っており、遺伝子が転写されてmRNAとなり、このmRNAが翻訳されて蛋白質となります(セントラルドグマといいます。図1)。今回紹介するDNAマイクロアレイ(=DNAチップ)は、主にこのmRNA量の変動を調べる目的で最近開発された画期的な方法です(図2)。本法は遺伝子(の合成断片)をスライドグラス上にスポットしたもので、僅か1cm四方の中に1万種類以上の遺伝子がスポットされています。試料としては例えばある化学物質にばく露した細胞および非ばく露細胞を一対用意します。試料は作業者の血液等でも可能です。試料からmRNAを抽出し、「逆転写」という反応によってmRNAをcDNA(complementaryDNA)に変えます。この時、ばく露・非ばく露が識別できるように蛍光色素(Cy3またはCy5)で標識します。次に両者の等量混合溶液をアレイ上に滴下し、一晩反応させます。この反応によりアレイ上にスポットされた遺伝子には、試料由来のその遺伝子に対応したcDNAだけが結合します。結合していない余分なcDNAを洗浄後、スポットに結合したcDNA量を、専用の読み取り装置を使って蛍光強度として最終的に検出します。そうしますと、アレイ上にスポットされている遺伝子の数は一定なので、ばく露群で発現量が多くなればなるほどばく露群由来のcDNAが多く結合するため緑色が強くなり、逆に非ばく露群で多い場合は赤が、ほぼ同程度の場合は黄色に近付きます。このようにして、1万種類以上の遺伝子の動き(発現量の増減)を一挙に捉える事が可能です。

http://www.niih.go.jp/jp/current/topics/13_topi04.html