大地の徳

偉くなることは、必ずしも富士山のように仰がれるようになるためではない。
なるほど富士山は立派だけれども、それよりも何よりも立派なもには大地である。
この大地は万山をのせて一向に重しとしない。限りなき谷やら川やらをのせて敢えていとわない。
常に平々坦々としておる。この大地こそ本当の徳である。
われわれもこの大地のように徳を持たなければならぬ、大地のような人間にならなければならぬ。(安岡正篤